今回は、再生医療を用いたAGA治療を専門に行うクリニックの院長（架空）に、エクソソーム治療の現状と未来についてお話を伺いました。「AGA治療におけるエクソソーム療法の最大の強みは、従来の治療法とは全く異なる『土壌改善』というアプローチを取れる点にあります。薬物治療が蛇口を締めて水の流出（抜け毛）を止める対症療法だとすれば、エクソソームは枯れた畑に栄養豊富な土を入れ、水や肥料を与えることで、再び作物が育つ環境を根本から作り直すようなものです。特に、従来の薬物治療では効果が頭打ちになってしまった方や、副作用への懸念から薬物治療に踏み切れなかった方、そして薬の選択肢が限られる女性の薄毛に対して、新たな希望を提供できる可能性を秘めています。現在、私たちが治療で用いるエクソソームは、主に脂肪幹細胞や歯髄幹細胞から培養されたものですが、その品質は年々向上しています。今後は、どの成長因子がどのタイプの薄毛に有効かといった研究が進むことで、より患者様一人ひとりの症状に合わせた、オーダーメイドに近いエクソソーム製剤が登場するかもしれません。例えば、血管新生を特に促したい方にはVEGFを多く含むエクソソームを、細胞増殖を強力にサポートしたい方にはHGFやIGF-1が豊富なエクソソームを選ぶ、といった形です。また、AGA治療は単独の治療法で完結するものではありません。エクソソームで頭皮環境を整えながら、内服薬でDHTを抑制し、ミノキシジルで血行を促進するといった、複合的な治療（コンビネーションセラピー）が、今後の主流になっていくでしょう。エクソソームは、AGA治療を次のステージへと進める、非常に重要な鍵を握っていると確信しています」。