薄毛の本当の原因はサウナではない?AGAとの関係を知る
「最近、抜け毛が増えたのはサウナのせいだろうか」と悩んでいる方がいるとしたら、その原因は別の場所にある可能性が非常に高いと言えます。なぜなら、成人男性の薄毛の悩みの実に9割以上が、AGA(Androgenetic Alopecia)、すなわち「男性型脱毛症」に起因するものだからです。AGAは、遺伝的な要因と、男性ホルモンの一種である「テストステロン」が、「5αリダクターゼ」という酵素の働きによって、より強力な「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されることで引き起こされます。このDHTが、髪の毛の成長サイクル(ヘアサイクル)を乱し、髪が太く長く成長する前に抜け落ちてしまうように指令を出すのです。毛髪は「成長期」「退行期」「休止期」というサイクルを繰り返していますが、AGAが進行すると、この最も重要な「成長期」が極端に短くなってしまいます。その結果、髪の毛は細く、短いままで抜け落ち、徐々に地肌が透けて見えるようになっていきます。この一連のメカニズムに、サウナの熱や湿度が直接的に関与する余地はほとんどありません。サウナに入ったからといって、遺伝的要因が変わるわけでも、DHTの生成が促進されるわけでもないのです。もし、サウナに通い始めた時期と抜け毛が気になり始めた時期が重なったとしても、それはAGAが発症・進行するタイミングと偶然一致したと考えるのが自然です。大切なのは、薄毛の原因をサウナのせいだと決めつけて自己流の対策に終始するのではなく、まずはその原因がAGAである可能性を疑い、正しい知識を持つことです。そして、本気で悩んでいるのであれば、皮膚科や専門のクリニックに相談し、医学的根拠に基づいた適切な診断と治療を受けることが、問題解決への最も確実な一歩となります。