サウナ好きの僕が薄毛の噂に怯え対策を徹底した話
週に三回はサウナに通うのが、僕の長年の習慣だ。仕事のストレスも、身体の疲れも、熱いサウナと冷たい水風呂の往復ですべてがリセットされる。この「ととのう」感覚なしに、僕の一週間は始まらない。そんなサウナライフを満喫していたある日、同僚からかけられた一言が僕を恐怖のどん底に突き落とした。「お前、そんなにサウナばっか入ってるとハゲるぞ」。冗談めかした口調だったが、三十路を越え、生え際の後退を気にし始めていた僕にとって、その言葉は鋭い刃のように突き刺さった。その日から、僕のサウナタイムは以前のような純粋な喜びの時間ではなくなった。サウナ室にいる間も「この熱で俺の毛根は焼かれているんじゃないか」「汗で頭皮が蒸れて、髪が抜けていくんじゃないか」と、不安ばかりが頭をよぎる。水風呂で頭まで潜るのさえ、急激な温度変化が毛根にダメージを与えるのではないかと躊躇する始末だった。このままでは、大好きなサウナを嫌いになってしまう。そう思った僕は、インターネットで「サウナ はげる」と検索し、必死で情報を集め始めた。すると、サウナが直接的な原因ではないこと、しかし間違った入り方は髪に良くないこと、そして「サウナハット」という救世主の存在を知った。早速、フェルト製の少し変わった形の帽子を買い求め、恐る恐るサウナに持ち込んだ。被ってみると、驚くほど頭部の熱さが和らぎ、のぼせることなく、じっくりと汗をかくことができる。サウナ後のケアも変えた。アミノ酸系の優しいシャンプーで頭皮をマッサージするように洗い、ドライヤーでしっかりと根本から乾かす。この対策を始めてから、僕の心は晴れやかになった。今では、サウナハットは僕の相棒だ。正しい知識は、無用な不安から僕を解放し、再びサウナを心から愛する時間を取り戻してくれたのだ。