AGA検査と一言で言っても、そのアプローチ方法は一つではありません。専門のクリニックでは、いくつかの異なる種類の検査を組み合わせることで、より多角的かつ正確にあなたの薄毛の原因を診断します。ここでは、代表的なAGA検査の種類と、それぞれが何を明らかにするのか、その特徴について解説します。まず、最も基本的で重要なのが「医師による視診・問診」です。これは、専門医があなたの頭髪や頭皮の状態を直接目で見て、薄毛の進行パターン(M字型、O字型など、AGAに特徴的な形か)を確認するものです。マイクロスコープを用いて毛穴の状態や髪の太さを拡大して観察することもあります。同時に、いつから薄毛が気になり始めたか、生活習慣やストレスの有無、そして家族(特に母方の祖父や父)に薄毛の人がいるかといった家族歴を詳しくヒアリングします。これまでの経験と医学的知識に基づいた専門家の総合的な判断は、診断の根幹をなすものです。次に、近年注目を集めているのが「遺伝子検査」です。これは、唾液や頬の内側の粘膜を採取し、あなたの遺伝子を分析する検査です。主に、男性ホルモンを受け取る受容体(アンドロゲンレセプター)の感受性の高さを調べます。この感受性が高いほど、AGAを発症するリスクが高い体質であると言えます。また、一部の検査では、AGA治療薬であるフィナステリドが効きやすい体質かどうかの効果予測も可能です。生まれ持った体質的なリスクを知ることができるため、治療方針を立てる上での重要な参考情報となります。さらに、クリニックによっては「血液検査」が行われることもあります。これは、AGAの直接的な原因を調べるというよりは、薄毛を引き起こす他の病気の可能性を排除するために行われます。例えば、甲状腺機能の異常や貧血なども抜け毛の原因となるため、これらの数値をチェックすることで、より正確な診断が可能になります。また、AGA治療薬を服用するにあたり、肝機能などに問題がないかを確認する目的でも実施されます。これらの検査は、それぞれが異なる側面からあなたの状態を照らし出します。視診・問診で現在の状態を、遺伝子検査で未来のリスクを、血液検査で他の要因を。これらを組み合わせることで、初めてあなたの薄毛の全体像が明らかになるのです。
AGA検査の種類とそれぞれの特徴