私がAGA治療を始めたのは三十代に入って生え際の後退が止まらなくなったからでしたが治療開始から三週間後に訪れた初期脱毛の凄まじさは今でもトラウマになりそうなほどの衝撃でした。処方されたのはフィナステリドとミノキシジルの内服薬で医師からは事前に「一時的に抜け毛が増えることがあります」と説明を受けていましたがまさかこれほどまでとは想像もしていませんでした。ある日のシャンプー中手に違和感を覚えて見てみると指と指の間にびっしりと黒い髪の毛が絡みついており洗い流しても洗い流しても次から次へと抜けてくるのです。排水溝のネットは一回の洗髪で真っ黒になりドライヤーをかければ洗面台の床が抜け毛で埋め尽くされるという地獄のような日々が続きました。鏡を見ると治療を始める前よりも明らかに薄くなっており地肌が透けて見える範囲が広がっている現実に「お金を払ってハゲを加速させてしまったのではないか」という疑念と後悔で押しつぶされそうになりました。通勤電車の中では人の視線が自分の頭に向けられているような被害妄想に陥り会社でもトイレの鏡で何度も髪型を確認しては溜め息をつく毎日でした。それでも治療を止めなかったのはネット上の体験談や医師の「ここが踏ん張り時です」という言葉を信じるしかなかったからです。変化が訪れたのは初期脱毛が始まってから一ヶ月半が過ぎた頃でした。いつものように恐怖を感じながらシャンプーをしていると不思議と手に絡まる毛の量が減っていることに気づき翌日もその翌日も明らかに抜け毛が減少していったのです。そしてその数週間後鏡で生え際を至近距離で観察すると抜けた毛穴から微細な産毛が無数に芽吹いているのを発見しました。それはまだ弱々しいものでしたが私にとっては希望の光そのものでした。それからは坂道を転がるように回復していき産毛は太く黒い髪へと成長し半年後には頭皮の透け感は完全に消失し美容師さんにも「髪質が変わりましたね」と驚かれるほどになりました。あの時恐怖に負けて薬を止めていたら今の私はなかったでしょう。初期脱毛は本当に辛い試練ですがそれは夜明け前の最も暗い時間でありその先には必ず光が差すことを私の体験をもって保証します。今まさに初期脱毛に苦しんでいる同志たちよどうか諦めずにその先に待つ喜びを信じて耐え抜いてください。